2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ドーナツの破片~s~

第2部 序にかえて ドーナツの破片~s~ 街の夜が平気なうちに それは顔を見せて笑い 静かに散る。 涼しさは心地良く彼を揺らし 街の灯りも人々の足音も ゆっくりとみな彼の味方になる。 一つの季節の終わりにはちゃんと一つの美しさが人々の心に淋しさを遺し …

ドーナツ・ショップ9

‐9‐ 社会と呼ばれているものに出て、社会人というものとして見られ扱われるようになって僕自身が最も変わったと感じることは、自分自身のポジションについて考えることが多くなった、ということだ。学生の頃サークルや部といったものに所属していなかった僕…

ドーナツ・ショップ8

‐8‐ さっきまでの思考が完全に、砂塵のようにさらさらと消え去っていく。それはどんなに抗っても手の施しようのない、半ば運命地味た死刑宣告だ。 「絶望の淵。 」 しかしもともと、この世のどこかにある思考なんてものは全て、限りなく曖昧なものだ。ちょ…